ジャズヴォーカリストのための譜面販売

ジャズボーカル用の楽譜を販売しています。ジャズスタンダードに関する記事も書いています。

I thought about you

この曲は個人的に大好きなのですが、

僕が最初にこの曲を聴いたのが誰の演奏だったのか、

はっきり思い出せません。

メロディがすごく印象的なバラード、という記憶だけ残っているのですが。

マイルスのMy Funny Valentineに入ってるやつだった気がして

久しぶりにyoutubeで聴き返してみたら、

思いのほかメロディをフェイクしていて、

なんかやっぱり違う気がしました。

Someday my prince will comeに入ってるやつだったかな、

いや、それも違う気がする、、ま、それはいいとして、

とにかく、最初に聴いたのはバラードのバージョンで、

それはそれですごく好きだったのですが、

 

それからだいぶ時間がたって、

実はむしろこっちの方が定番のスタイル、

ミディアムよりやや遅めのスイングのバージョンを知って

あ、これ、こういう曲だったんだ、と認識を新たにしました。

個人的には、この曲には2度の出会いがあったわけです。

 

電車に乗って外の景色を眺めながら

ずっとあなたのことばかり考えている、

歌詞も、まあどうということもないといえば

どうということもないのですが、

情景がわかりやすく思い浮かんで

歌の世界にすっと入り込んでいけます。

で、この「私」の電車内での構図をあえて具体的に想像してみるに、

 

「私」は進行方向に向かって右側のボックス席で

進行方向に背を向けて座って、窓側に頭の左側を

もたせかけ、外の景色を見ている、

という感じです。

ま、人それぞれかな。

I peeked through the crack, looked at the track
The one going back to you

アメリカでは電車は右側通行としたら逆かもしれません。

ほんとどうでもいいんですが、

 

たくさんのすばらしい歌手が歌っていますが

この人マキシンサリバンの歌は、ほんと素敵ですね。

 

ジャズボーカルは他のボーカルと何が違うのか、

という議論をよくネットでも見かけます。

一言ではなかなか言い表せないと思いますが、

一つポイントをあげるとしたら「抑制の美学」

みたいなことは言えるんじゃないかと思います。

ドラマティックに歌い上げる、ということをしない。

喜怒哀楽、様々な感情は心の中でうごめいてはいるけれど、

そんなのをそのまま外に出したりしないで、淡々とかみしめている。

大人ってそういうものだ、というかんじの表現でしょうか。

この人の歌はまさにそういう感じが伝わってきます。

 

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